【感想】「人を動かす」D・カーネギー

「道は開ける」でもおなじみ、カーネギー氏の著作である。道は開けるにかなり感銘を受けたので、この人の本ならと手に取った。

人に気持ちよくお願い事をしたり、主張を通すにはどうすればいいのかと悩んでいた。そのため、文庫本になるほど読まれ、1冊の本にまとめられた本書は手をつけやすかったのだ。

全体を通してこの本では相手との対等な立場を維持することを意識するよう述べられているも思う。私たちは議論に勝とうとしたり、間違いを正そうとするあまり、意図せずとも相手より優位に立とうとしてしまう。しかし、人は理性的な生き物でなく、感情的な生き物であるため、上から目線のアプローチでは動こうとしない。多くの具体例を交えてそれらを説いてくれるのがこの本だ。

印象に残った点をPartごとに挙げていく。

まずPart1から。人に何かをお願いする時に自分の都合を優先しても意味が無いとのことだった。相手の感情ベースで会話を進めた方がよりよく相手の動機を高めることができる。本書でも何度か触れられているように、人は感情的な生き物なので自分の理屈でゴリ押しすればするほど反発されてしまう。

Part2では相手に興味を持ち、重要感をもたせることが大事と述べられている。自分は人に興味を持てないが、聞き上手だとは言われる。なので、もう一歩興味を持てば人との関係を深くできるのかもしれない。そう思い、最近では人の好きな物などはメモを取り、次に会うまでに調べておいて話題に出来るようにしている。そうすると自然と相手が会話を進めてくれるので、無言でどうしよう…と焦ることは無くなった。

Part3では議論を避けることが述べられている。
中でもYesと言わせるソクラテスの手法は印象深い。プラトンの本でソクラテスの話し方を知っているので凄く共感を覚えた。ソクラテスは自分が知らない振りをして、しかし、Yesで答えられる形の質問で事実を1つずつ認めさせて相手の意見を覆すことがある。相手が知らないことがあっても、それは忘れているだけだと言い、プライドを傷つけないようにもする。偉い立場である人ほど議論に勝ってしまうと不味いというのは誰でも分かると思う。そうは言っても相手の意見を説得したい時にこのソクラテスの手法が役立つかもしれない。

Part4では人を変える方法に触れている。まずほめたり、自分の過ちを話す、遠回しに注意するなどが挙げられているが、どれも相手と自分の立場を均一にするための手法だと思う。相手の良い部分はきちんと認める。そうすることで相手を貶めないようにする。そして自分も過去にこんな失敗をした、と話すことで、自分が優位に立たないようにする。注意する時も直接怒鳴りつけると上からになるので、諭すように伝える。そうして相手とのバランスをどちらかが上にならないように保ちながら意見を伝えていくのが大事だ。

私はこれまでただ相手を立てれば良いと思っていたので、このバランスの重要さには驚いた。おそらく人付き合いの上手な人、特に優れた経営者などは自然と身につけてやっている内容なのだろうと思う。その技術を言葉にして凡人の私にも教えてくれる本書はとても素晴らしい本だと思う。

一方で実践しようとすると、私自身も感情が前に出て行動に移せないことも多いので、読めばすぐ使える代物ではないとも思う。私のように人に向き合うのに慣れていない人は常に頭の片隅においておき、何度もトライして身につけていくしかないのだと思う。

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