暇人の寝室
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読書
ガイドとあるように、自傷してしまう人についての知識と周りの人の対処についてポイントを抑えて説明されている本だ。以前「自傷・自殺のことがわかる本」の記事を書いたが、そちらと比べると文章が多いので多少詳しくは書かれていると思う。そのため、実際に自傷をしてしまう人や、接触障害を抱えている人が周りにいる場合にしっかり目を通すと適切な対応ができるかもしれない。
自傷についてはもちろんのこと、医療機関との関わり方から、家族の支援、生活習慣などまでカバーしている。私自身はどちらかというと当事者の立場なので、知識としては有用だが、すぐ問題が解決するかと言うと中々難しいと感じた。当事者よりも周りの人が読んで、当事者と一緒に回復に進んで欲しいなというのが当事者としての思いだ。
とはいえ、本人ができることについてもいくらかは書いてあり、置換スキルも紹介されているので当事者も読んで損ということは絶対にない。
一番印象に残った部分は自分を傷つけてしまう人に対しての周りの距離感についてだ。当事者を突き放すのはもちろん良くないし、逆に寄り添いすぎたり共感しすぎたりするのも適切とは言えないのだ。ある程度の距離を保ちながら一緒に回復していくというのが大事なのだ。
しかし、おそらくこれは実際にやろうとすると難しいと思う。心理系の職に就いてない人は特に、自身の感情をおいて当事者と向き合うことにそもそも慣れていない。そのため、感情のままに言葉を発して当事者との関係を悪化させてしまう可能性が高いと思う。それを避けるために本書のような本で知識を持つことが大事だと強調したい。
一方で、社会にはそうした知識を持っていない人の方がまだまだ多いのではないかと思う。であれば、そうした人々からの無知による攻撃から当事者を守るような手段も必要なことだと私は思う。
具体的に言えばSNSが当てはまる。不特定多数の言葉が飛び交い、自分に向けられたものでなくとも、当事者は攻撃として受け取ってしまう可能性が十分にある。可能であれば、SNSからは遠ざかって置くことが望ましいだろう。SNSに依存している場合は、置換スキルを用いて少しずつ距離を離せるように周りが協力するのも良い。
SNSの利用についての私が受けた教育は「不用意な発言、攻撃的な発言はやめましょう」というような発信に関するものだった。現在の教育については知らないが、そこまで大きくは変わっていなのではないかと推測する。物理的距離に依存せず色んな思想が飛び交う世の中だからこそ、これからの人々は情報の受信に着目し、守りの姿勢について学んでいく必要があると思う。